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■国立国際美術館 開館30周年記念展/30年分のコレクション
The 30th Anniversary : Collection
of the National Museum of Art, Osaka |
■会場:国立国際美術館
[大阪・中之島] |
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■このセクションの主な出品作家:難波田龍起「移動するもの」、野見山曉治「ベルギーのボタ山」、山口長男「景」、山田正亮「WORK
C.96」、岡田謙三「紫」、オノサト・トシノブ「二つの円」、瑛 九「泉」、靉 嘔「男(自画像)」、泉 茂「夜明け前」、磯辺行久「Work
62-45」、池田満寿夫「姉妹たち」、吉原英雄「彼女は空に」、堀内正和「Exercise 4」、毛利武士郎「作品」、清水九兵衛「かつら
17」、森口宏一「作品(No.12)」 |
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●美術館は同時代の方々に美術作品を鑑賞する機会を提供するばかりではなく、未来の社会へと継承していくという使命も担っている。 |
国立国際美術館は、ジョアン・ミロの陶板壁画《無垢の笑い》(1970年の大阪万博・ガスパビリオン展示作品の寄贈を受けたもの)などわずか14点のコレクションから出発した。本展はその中から、国際的な現代美術の動向を歴史的背景を踏まえつつ紹介するという当館の設立主旨にもっともふさわしい400点余りを選んで展示するものである。 美術館にとっては展示活動と作品収集活動は、車の両輪のように相互に密接に結び付いた関係にある。また同時代の方々に美術作品を鑑賞する機会を提供するばかりではなく、未来の社会へと継承していくという使命も担っている。今日の社会が先人たちの遺してくれたコレクションの恩恵にあずかっているからには、私たちもまた将来に向けて、それをより充実したものへと発展させていく努力を怠ってはなるまい。 コレクションは質の高い作品を収集しなければならないのは当然だが、同時に美術館の方針に基づいたコレクションとしての体系性を維持する必要がある。特色のある体系を形成していくことが求められている。 |
●美術館とは博識になるための施設ではなく、心躍る出会いと新たなる発見の喜びに満ちた場所でなければなるまい。 |
当館の主要な方針のひとつは、グローバルな美術の展開を可能な限り幅広い視野で捉えると共に、地域ごとの固有性にも重きをおくということにある。 とりわけ日本の戦後美術が海外の動向と広義でのイズムを共有しながらも、強く独自の性格を宿しているという事実を、現実の作品に即して浮かび上がらせることは、もっとも重要な課題であり続けてきた。もうひとつは美術作品を、自立的な表現として受容するばかりではなく、それぞれの時代の息吹の中で把握しようとしてきたことである。アーティストの表現を“生きられた思想”そのものとして捉えようとしてきた。一見マイナーな世界ではあっても、時代の証言として貴重な意味をもつと思われる作品の収集に留意してきた。 また現代美術の最先端の動向を取り上げることも、当館に課せられた大きな役割である。たとえ作品としての評価が未だ流動的であるとしても、目下、美術の世界で何が起きているかということをヴィヴィッドに紹介し、若いアーティストたちの鋭い感受性や批評精神に直接に触れる機会をもっていただく。 展示室の主役はあくまでも作品であって、私たちは裏方として、観客の方々にそれぞれの“生きられた思想”と直接的に触れ合うことのできる機会を用意しようとしているだけなのだ。 私たちは美術作品の収集を進めながら、いずれの日にか全フロアーを自らのコレクションだけで埋め尽くす展覧会を実現することを目ざしてきた。30年目にしてようやくその夢がかなった。 |
建畠 晢(たてはた・あきら)国立国際美術館 館長
展覧会図録の『30年分のコレクション』より抜粋 |
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