|
■モディリアーニ展/あの名作から、知られざる原点まで
Modigliani et le Primitivisme |
■会場:国立国際美術館
[大阪・中之島] |
|
トップ頁 |
|
|
|
-- |
|
|
■1914年モディリアーニにとって決定的な転換点となりました。この年、おもに健康上の理由からモディリアーニは彫刻家になることをあきらめ、再び絵画制作に向かいます。また、画商のポール・ギョームと知り合い、契約を結んだのも同年のことでした。新進気鋭のやり手の画商であったギョームは、なかなか買い手のつかない彫刻をやめて、絵画に専念するようにモディリアーニを説得したとも伝えられています。
再び絵筆をとったモディリアーニは、表情のない無個性なカリアティッドを主題にすることから次第に離れ、身のまわりの親しい人たちをモデルにして、肩から上をクローズアップした肖像画を描くようになっていきました。また、この頃から1916年にかけての時期は、描き方もさまざまに変化しました。色とりどりの絵具の斑点を用いたり、ペースト状の絵具を厚塗りしたり、キュビスム風に形態を分析的にとらえたり、あるいはカンヴァスから板、厚紙まで支持体を変えたりしながら、独自のスタイルを模索していたようです。 |
|
|
|
|
■モディリアーニは、1916年頃から肖像画をおもな舞台にして、独自の様式を確立していきます。その探求は、1920年に35歳で短い生涯を閉じるまで続きました。この時期に描かれた肖像画のモデルは、友人の画家シャイム・スーティン、2年におよぶ同棲生活送った恋人のベアトリス・ヘイスティングス、生涯の伴侶となったジャンヌ・エビュテルヌ、深い友情で結ばれた画商のレオポルト・ズポロフスキなど、とても親しかった人々のこともあれば、まったく誰だか分からない人物の場合もあります。
いずれにしても、その細長く引き伸ばされた首や身体、極端ななで肩、アーモンド型の目、喜怒哀楽のない無表情な顔といったモディリアーニ独自の様式的な特徴によって、これらの肖像画は互いに似通って見えます。しかし、同時にそれぞれのモディリアーニの人となりや個性も、しっかりと表わされているのです。この無個性にも個性的にもなりうる肖像画には、モディリアーニの創造の源泉となったプリミティヴ美術の民族的な仮面やトーテム像の影響を読みとることができるかもしれません。モディリアーニは、表情のない仮面のような顔を通じて、逆説的にそれぞれのモデルの存在の本質に迫ろうとしたのです。 |
|
|
-- |
|
|
記者発表会メモより: ●展覧会キュレーター、マルク・レステリーニ氏の挨拶。
この展覧会ではモディリアーニの既存の顔と違う、もう一つの顔を紹介したい。これまでは、前衛的、アヴァンギャルド、若くして亡くなった。病気で悩んでいた。彼の死後に恋人も亡くなった等、運命の作家としてドラマチックに紹介されてきた。 モディリアーニは芸術的に深い追究をしている前衛画家である。彼の作品は芸術的に重要な作品であるのに周辺に置かれていた。20世紀の初頭の革命的な時代、中心に置かれる画家ではないかというアプローチで展覧会をキュレートした。
モディリアーニとってカリアティッド(古代アテネの建物の梁を支える婦人像)の習作はまだ摸索の時期でした。習作としてのカリアティッドのデッサンは、今では単に練習としてのデッサンではなく、彼の確立する肖像画の要素の中心を占めるのが、カリアティッドの習作やデッサンであることを知って欲しいのがこの展覧会の意義である。
◎モディリアーニは特定の人物で無い人物のデッサンから、ある個人のデッサンになっていく中で、プリミティヴィスム(原始主義)なアートの世界を確立して行った。ピカソやマチスも原始アート(プリミティヴ・アート)に影響を受け作品を作ったが、彼の創作の基盤として一生を通して、彼らのように一過性ではなくやったのはモディリアーニのみである。
一点一点の作品ではなく、全体の中で「線的に変化する美の世界」を見て欲しいのが私共の願いである。運命的な作家でなく、一貫性のある終始ロジカルな人であったことを知って欲しい。
|
|
●記者の質問タイム(女性の記者が大勢詰め掛けていた。)
応答:展覧会キュレーター:マルク・レステリーニ氏
Q.:映画『モンパルナスの灯』のモディリアーニと現実の彼との違いを具体的に?
A.:主演のジュラール・フィリップは大きなインパクトでした。そしてシナリオ化されて、モディリアーニの呪われた運命を強調している。女を追っかける、麻薬やドラッグをやる、酒を飲むなど、モディリアーニのボヘミアン的な所が強調されている。ドラッグはピカソなどもやっている実験的に。皆様にはジャーナリストして、モディリアーニを映画から見るのではなく、真実のモディリアーニを知って欲しい。
Q.:細長い顔、首の長い形態の影響はどこからか?浮世絵等が影響しているのか?プリミティヴィスム(原始主義)は決定的か?
A.:様々な影響がある。イタリアの古典が地盤にある。
首の長いのはトーテムやアフリカの抽象化された形式やマスクから。
日本の浮世絵の影響はロジックとして理論的にある。能(のう)等の仮面に理論的、ロジカルに影響を受けている。
モディリアーニはイタリア美術にこだわっていたのではない。ルネサンスは自分達の根源に戻るという風に、人間の依って来たる所の自然に戻る、人間の根源である所の自然に戻る、原始に戻ることであった。 Q.:顔の色は時代によって変わるのか?
A.:肌の色や首の色は描いた場所によって、パリとかニースとかによって違う。一つのポーズを描いた時、モディリアーニはその写真をとって資料にして残していることでわかる。 |
|
|
|
■モディリアーニ展/あの名作から、知られざる原点まで |
Modigliani et le Primitivisme |
■会場:国立国際美術館 [大阪・中之島] |
■会期:2008年7月1日[火]〜9月15日[月・祝] |
■ストリート・アートナビ取材:展覧会シーン(記者発表会・プレス内覧会) |
●Page-1 ●Page-02 ●Page-03 |
■取材日:2008年6月30日(月) 掲載日:2008年7月11日(金) |
■取材・写真・Webデザイン:ストリート・アートナビ/Street
Artnavi 中田耕志 |
※上記の説明、写真キャプションは展覧会報道資料、展覧会図録、記者内覧会を参考にしました。 |
|
New▲展覧会シーン/2005年〜2008年 画面をクリック |
|
|
|
|
|
|
|