第四の石版THE FOURTH PLATE
ミッドランドの歴史は古い。東にある大陸から海峡を越えたところにあるその島は、かつては原住民が暮らしていたのかもしれないが大陸を渡り住み着いた蛮族が暮らすようになって久しかった。彼らの多くは白い肌を持ち、髪の色は金から褐色をしていたが中には浅黒い肌や黒髪の者も多く生まれ、原住民との混血が進んだ結果と言われている。この島で原住民といえば、今では古来から住んでいた民族と大陸を渡った蛮族の混血による末裔のことを指す。狩猟を行うが、主に馬や牛による牧畜と小麦の農耕によって生計を立てている。特にミッドランドの馬は名品として、今でも大陸に広く知られている。
この島が大きな転機を迎えたのは、古代帝国による侵攻が行われた時代に端を発する。文明によって大陸を統治していた彼らは海峡を渡り、赤い羽根飾りと呼ばれる強力な軍団を駆って今のノヴィオマヌスと呼ばれる場所に上陸すると、南からこの島を占領してしまった。原住民は剣と槍を手に、獣の皮を被り青い染料で全身を飾り立てると勇猛に戦ったが、赤い羽根飾りは原住民が隠れる森を切り拓くと街道を整備して砦を建て、今はボーダーと呼ばれる地までその版図を広げることに成功した。原住民の多くはドゥルイデスと呼ばれる指導層に率いられて西に移動し、一部は海を渡りロクスの地へと逃亡して原始的な集落を残している。
帝国によって統治された地はミッドランドと呼ばれるようになり、石造りの文明により多くの入植者や商人が訪れると大陸との交易も活発になって、特に帝国にとっては重要な馬の産地としても知られるようになった。本来、ミッドランドとは今のアーガイル周辺を指す、島の中央部を意味する言葉である。その後、帝国による北方への進攻や原住民の蜂起、大規模な衝突が幾度か起こりながらも、ミッドランドは数百年に渡るそれなりの繁栄を享受することができた。やがて帝国が衰退すると戦線は後退して遂に大障壁と呼ばれる長塁を建て、それ以上の進攻を断念せざるを得なくなる。やがて北方の海域を巡り海賊の移民が行われるようになると、島は幾つかの地域や国に分かれることになって今のミッドランドを形成するようになった。ミッドランドはかつてこの島の半分を支配した帝国の入植地の名前であり、その残滓を残した南方地域の名前ともなっている。
ミッドランドは五つの地域に分かれる。島の名と同じミッドランドは先に述べた帝国の入植地であり、比較的気候は穏やかで南西部は広大な牧草地に、東部は耕地になっていて東西を貫く整備された街道によって繋がれている。大陸との交易は今でも続けられており、カスパーを経由して大障壁を越えた品々が行き来することもある。そのカスパーは「裏切りの」ターグ男爵によって治められている領地であり、もとは大障壁を挟んでアーガイルとミッドランドの交易を取り持っており、小国ながら多くの富を手にしている。北方のエディンバラは原住民の文化が色濃く残る地であって、ボーダー川を越えた領土には三つの山脈と寒冷な気候が横たわっており文明の靴跡は南部にしか見あたらない。稀少な一角獣やグレート・アンテロープといった珍しい生物が今も生き残っているが、ドウォーフの故郷であるグランドピアンよりも北に何があるかはほとんど知られていないのが実状だ。西方にあるロクスはドゥルイデスが最後に逃げ込んだ地であり、そこで古くからの原住民の文化を受け継いでいる。自然信仰をもととし、港であったロクスの跡地を含めて都市らしい都市は存在せずかつては囚人島として扱われていたこともあった。
アーガイルはこうした地域に囲まれた王国であり、その起源は原住民の部族と北方を経由して入植した海賊との末裔にあると言われている。王ソーステインがカスパーのターグ男爵に暗殺されてより、大障壁を挟んでミッドランドとの交易は途絶えておりカスパーとの間は最悪の状態となっている。王が失われた国は今は『白い魔女』アルガラドと彼女を守る剣士シグルドソンの手に委ねられており、各地で起こる騒乱には人を徴募して当たらせているのが実状だ。そして、貴方たちが足を踏み入れた地がこの混迷のアーガイルである。
>プロローグを見る
>シナリオ1を見る
>シナリオ2を見る
>シナリオ3を見る
>シナリオ4を見る
>シナリオ5を見る
>シナリオ6を見る
>シナリオ7を見る
>シナリオ8を見る
>シナリオ9を見る
>シナリオ10を見る
>シナリオ11を見る
>シナリオ12を見る
2014.03.12
>中庭に戻る