「フィラデルフィア美術館展:印象派と20世紀の美術」記者内覧会&開会式
会場:京都市美術館(岡崎公園内) 会期:2007年7月14日[土]〜9月24日[月・休]
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 19世紀のフランスは、市民革命と産業革命を経て、技術革新の急激な進歩や都市人口の増加など大きな社会変動が起こりました。この変化は、美術においてもさまざまな変革をもたらし、近代絵画の誕生をうながすに至ります。
 人々の関心が華やかな都会に向かうなかで、あえて素朴な田園に目を向け、フォンテーヌブローの森のバルビゾン村に集まったコローたちは、移ろい行く自然の姿を、戸外での写生によって虚心に描き出しました。のちに彼らは、村の名前にちなんでバルビゾン派と呼ばれるようになります。
 一方、パリでは、クールべやマネを中心としたレアリスム運動が展開されました。クールベは、当時の画壇の主流であった歴史的主題や物語性を排し、身近な風景や現実の市民生活をありのまま描きました。マネは、《草上の昼食》や《オランピア》などでアカデミスムが推奨する主題と描法に反旗を翻し、激しいスキャンダルを巻き起こしています。
 自分たちの描きたい対象を自分たちのやり方で描いた、バルビゾン派やレアリスムの画家たち。彼らこそは、印象派の登場を用意した先駆者であったといえるでしょう。
このセクションの主な出品作家:ジャン=バティスト=カミーユ・コロー「テルニの山羊飼い」、ギュスターヴ・クールベ「スペインの女」、ウジェーヌ・ブーダン「エトルタの浜辺」、エドゥアール・マネ「キアサージ号とアラバマ号の海戦」
 1874年、パリのキャピュシーヌ大通り35番地にあるナダールの写真館で、「画家、彫刻家、版画家など芸術家の共同出資会社」による展覧会が開かれました。出品者数30名、出品点数165点におよぶこの展覧会は、ドガ、ピサロ、モネ、ルノワールなど、もはやサロン(官展)に飽き足らなくなった野心的な画家たちが、自分たちで会費を出し合い、委員を選出して開催したものです。そして、この展覧会を揶揄する記事を書いた批評家が、出品作のひとつであるモネの《印象、日の出》にちなんで、記事のタイトルを「印象を主義とする人々の展覧会」名付けたその瞬間、後に近代絵画の歴史に輝かしい1ページを刻むことになる印象派が、ひとつに流派としての形をなすに至ったのです。
 印象派の画家たちは、積極的に戸外での制作に取り組み、時間や天候によって刻々と移り変わる光の諸相を、パレットナイフなどを用いた大胆な筆触と微妙な色彩の変化で促えようとしました。こうして生き生きと描きだされたパリをはじめとするフランス各地の情景によって、彼らはかつてのアカデミスムにおいて軽視されていて風景画や都市風俗画を刷新し、長い伝統に裏打ちされた歴史画の優位を打ち破ったのです。
このセクションの主な出品作家:カミーユ・ピサロ「ラクロワ島、ルーアン(霧の印象)」、エドガー・ドガ「室内」、クロード・モネ「ル・アーヴルの港」、ピエール=オーギュスト・ルノワール「ルグラン嬢の肖像」
 一方、印象派の意義を認めた上で、彼らを乗り越えようと独自の絵画世界を探究したのが、ゴッホ、ゴーガン、セザンヌらポスト印象派の画家たちです。セザンヌは、堅牢な画面の構築を目指すなかで絵画形式の革新を果たし、ゴッホやゴーガンは、内なる観念の象徴的な表現へと向かいました。彼らのこうした試みは、今日に至るまで多くの議論の対象となり、後の芸術家たちに大きな影響を及ぼし続けています。
このセクションの主な出品作家:ポール・セザンヌ「ジヴェルニーの冬景色」、アンリ・ルソー「」陽気な道化たち」、ポール・ゴーガン「聖なる山(パラヒ・テ・マラエ)」、ホアキン・ソローリャ「幼い両生類たち」、フィンセント・ファン・ゴッホ「オーギュスティーヌ・ルーラン夫人と乳児マルセルの肖像」

本展監修者の井出洋一郎氏(東京純心女子大学教授)のお勧めは作品は、ルノワールの《大きな浴女》(1905)。「女性の画家」とも呼ばれるルノワールが数多く描いた、豊かで美しい女性像のなかでもベストテンに入る傑作であり、アメリカ国外になかなか出ないことで知られている。それが日本で初公開される。またルノワールが計4点も出品されているが、一つの美術館からルノワールの名作がこのようにまとめて出品されることは非常にまれである。
フィラデルフィア美術館展:印象派と20世紀の美術
会場:京都市美術館(岡崎公園内)会期:2007年7月14日[土]〜9月24日[月・休]
ストリート・アートナビ取材:展覧会シーン/Page-1/Page-2/Page-3
取材日:2007年7月13日 掲載:7月22日 ART SCENE/Street Artnavi
取材・写真・Webデザイン:ストリート・アートナビ 中田耕志
※上記の説明、写真キャプションは展覧会報道資料、展覧会図録、同展説明会を参考にしました。

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