「フィラデルフィア美術館展:印象派と20世紀の美術」記者内覧会&開会式
会場:京都市美術館(岡崎公園内) 会期:2007年7月14日[土]〜9月24日[月・休]
ストリート・アートナビ取材:展覧会シーン/Page-1/Page-2/Page-3


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 20世紀に入ると、更なる美術革新が次々と行われています。1905年、パリのサロン・ドートンヌにおいて、マティスやドラン、ルオーら一群の画家たちは、原色を多用した強烈な色彩と荒々しい筆触によって好奇の対象となり、ある批評家から揶揄を込めて「フォーヴ(野獣)」と名付けられました。しかし、色彩と筆触によって主観的な感覚を表現しようとした彼らの作品は、日本人画家を含む多くの芸術家たちに多大なる影響を与えています。
 続いて起ったのが、キュビスムによる形態の革命でした。キュビスムを推進したピカソとブラックは、従来の固定された単一の視点によって描かれる遠近法を排し、対象をあらゆる角度から捉えた上で、それらをひとつの平面上に表現しようと試みたのです。その結果、彼らの描く静物画や肖像画は断片化された面の集積となり、三次元的なモデリングによらない新しい対象描写が可能となりました。
 また、パリ郊外のピュトーにあるジャック・ヴィヨンとレイモン・デュシャン=ヴィヨンのアトリエには、二人の弟であるマルセル・デュシャン、グレーズ、メッツァンジェ、ドローネ、レジェ、グリスらが集まり、芸術や科学について活発な議論を戦わせていました。彼らは、キュビスムを志向しつつも、ピカソやブラックが軽視していた色彩の復活を試みています。20世紀の美術に最も大きな影響を与えたとされるデュシャンも、今回出品される《チェス・プレイヤーの肖像》がそうであるように、初期においてはキュビスムを試みていた形跡が見られます。
 同じ頃、ドイツではカンディンスキーを中心とする表現主義のグループ、「ブラウエ・ライター(青騎士)」が登場しています。彼は、抽象絵画の先駆的な存在となる一方、クレーとともに、先進的な芸術学校バウハウスでの教育活動にも積極的にかかわりました。
このセクションの主な出品作家:アンリ・マティス「青いドレスの女」、パブロ・ピカソ「三人の音楽師」、マルセル・デュシャン「チェス・プレイヤーの肖像」、ホンン・グリス「カフェの男」、パウル・クレー「魚の魔術」、コンスタンティン・ブランクーシ「接吻」、マルク・シャガール「プリム祭」、ワシリー・カンディンスキー「黄色の小絵画(即興)」、アメディオ・モディリアーニ「ポーランド女の肖像」
マティスの《青いドレス》(1937)は、数年前に国立西洋美術館で開催された「マティス展」にも出品がかなわかったものだ。画家が得意とした静物と女性像という二大テーマの傑作3点が展示。いずれも色遣いが開花した1920年以降の作品で、マティス独特の色彩を堪能できる。
 シュルレアリスムは、夢や深層心理などの内面世界に目を向けた、文学や美術の分野における20世紀最大の芸術運動のひとつです。1924年、フランスの詩人アンドレ・ブルトンは最初の「シュルレアリスム宣言」を発表し、その中でこの運動を「純粋な精神的自動作用であり、それによって真の思考過程の表現をもくろむ」と定義しました。
 シュルレアリスムの作家たちは、現代社会における物質文明や合理主義の氾濫に抵抗して、普段は理性の下に潜んでいる無意識の領域を解放することを目指しました。そのために、彼らはオートマティズム(自動筆記)やデペイズマン(対象をあるべき本来の関係から外して、別の文脈に置き直すこと)といった、不合理かつ偶然性に左右されやすい操作を好んで用いています。
ミロ、マグリットらは、日常的な事物やイメージを現実にはありえないような形で組み合わせ、詩的な幻想空間を作り出しましたが、それらの作品はキュビスムや抽象絵画とは異なる、主観的な美術の可能性を生み出したのです。
このセクションの主な出品作家:ルネ・マグリット「六大元素」、ジョルジョ・デ・キリコ「占い師の報酬」、ジョアン・ミロ「月に吠える犬」
 19世紀における美術の中心はヨーロッパでした。ホーマー、エイキンズらはヨーロッパで絵画を学んだ上で、その技術を生かしてアメリカの風景や日常生活を描き続けました。カサットやサージェントのように、異国に留まり半生を過ごしたアメリカ人画家もいます。一方で、都会に住む人々の暮らしを写実的に描き、アシュカン(ごみ箱)派と称されたスローン、都市や建築物などの人工的な風景を精密に描いたシーラーらは、日々発展しつつあるアメリカ社会にふさわしい写実主義的な絵画を創り出しました。
 1913年、ニューヨークで美術史上に残る「近代美術国際展覧会」が開催されました。兵器庫(アーモリー)で行われたために「アーモリー・ショー」と呼ばれ、10万人を超える人々が観賞したとされるこの展覧会は、印象派以後のヨーロッパの前衛美術を多く含んでいたこともあって、アメリカ社会に大きな衝撃を与えました。
 同じ頃、革新的な写真家であったスティーグリッツは、ニューヨークでリトル・ギャラリーズ・オブ・ザ・フォト・セセッション(通称「ギャラリー291」)を経営し、ヨーロッパの前衛美術を積極的に紹介しています。彼のまわりには、ハートリーやオキーフといった若く意欲的な画家たちが集い、アメリカのモダニズムを推進する役目を担いました。美術の先進国であったヨーロッパに対し、強い憧憬を抱いていたアメリカの画家たちは、ヨーロッパのモダニズムに接することによって、自らも前衛的な美術を発展させたのです。そして、第二次世界大戦後には、抽象表現主義の出現によって、ニューヨークがパリに代わる世界の美術の中心地となりました。
このセクションの主な出品作家:トーマス・エイキンズ「帆走」、ジョン・シンガー・サージェント「リュクサンブール公園にて」、メアリー・カサット「アレグザンダー・J・カサットとその息子ロバート・ケルソ・カサットの肖像」、ミルトン・エイヴリー「黒のジャンパースカート」、ジョージア・オキーフ「ピンクの地の上の2本のカラ・リリー」、ドロテア・タニング「誕生日」
宝石を散りばめたような、ステットハイマー独特の色使い。服のセール会場でのなりふり構わぬ女性たちの姿を、画家はユーモアをこめて描き出している。ステットハイマー:1916年の生前にただ一度だけ行われた個展では、一点の作品も売れなかった。彼女の幻想的な作品が評価されたのは、その死後のことである。
ピンク色を背景にした、緑がかった白いユリ。鮮やかな黄色のおしべと茎がついている。オキーフは、1920年代から30年代にかけて、性的な要素を喚起させる花の連作を描いた。しかし、オキーフ自身は、花の作品にセクシャルな意図はないと強く否定していた。
フィラデルフィア美術館展:印象派と20世紀の美術
会場:京都市美術館(岡崎公園内)会期:2007年7月14日[土]〜9月24日[月・休]
ストリート・アートナビ取材:展覧会シーン/Page-1/Page-2/Page-3
取材日:2007年7月13日 掲載:7月22日 ART SCENE/Street Artnavi
取材・写真・Webデザイン:ストリート・アートナビ 中田耕志
※上記の説明、写真キャプションは展覧会報道資料、展覧会図録、同展説明会を参考にしました。

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