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この瓢箪には誠に意外性が凝縮している。 周りが新緑の中、赤いフレームが際立つ中に野暮ったい瓢箪がぶら下がっている。近づいてよく見るとスポーツ新聞の野球記事、それも阪神タイガースの選手の写真と活躍を報じる派手な見出し文字がべたべた貼られている。ここまでだと、津村氏はよっぽど阪神が好きなんだろうなと思う程度だが、作品タイトルが「猿のち虎」とある、この場所の近くに大阪城があり、その城を築いた一代の英雄、関白・豊臣秀吉のあだ名が“猿”、戦の馬印が瓢箪、そして大阪城の天守閣に設えた茶室が千利休のわび茶の心に逆らうかのように総金箔張りと派手だった。時は代わり今や大阪のヒーローは阪神タイガースになった。作品は時代を閉じ込めている。 見る方向によってもその表情が変わる。緑を背景にするとぴったり来るが、角度を変えて青空に立つ高層ビルを借景として観ると、それらと一体化した造形が浮かび上がり新発見をしたような感動を覚えた。 |
津村健一(つむら・けんいち)
「猿のち虎」
2006年/75× 75×123.5 cm 鉄、合成樹脂、新聞紙、金箔 |
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外磯氏が一番気楽に「彫刻漫才」に取り組めたのではないだろうかと思う。それは近年の作品のテーマに流れるユーモア性と合致するからだ。クラゲかイカを想像するだけで思わず、にやりとしてしまう。大川(旧淀川)辺りに佇み行き交う観光船アクアライナーの乗船客の目を楽しませ、毎日、「彫刻の小径」を散策する人たちの心を和らげる。 朝の7時頃に作品を撮っていると、ここに住み、いつも散歩している70歳ぐらいの少し言葉の不自由な老人が「6時から6時半ぐらいだったら、大川の水面がキラキラと光り、それこそダイヤモンドみたいやで」と教えてくれたのが忘れられない。 |
外磯秀紹(とのいそ・ひでつぐ)
「もし もし もし」
2006年/50× 50×160 cm 陶 |
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金色の猫がまるで監視カメラのように高い位置に昇り、じっと何かを見つめている。猫の手も借りたいと云う程でもないけれど、少しは役に立つだろうと「彫刻の小径」の入口あたりの見張りを任されているのだニャン。“しあわせそれともふしあわせ”と聞かれたら、それはもう絶対、幸せに決まっている。毎日色んな人が来て僕を眺めて行く、ちょっと気恥ずかしいけど、もう慣れてしまった。逆に相手を観察する余裕が出て来た。今日はセンター分けの美形の猫がじっと僕を見つめている。隠れる所もないし、どきどきするのだニャン。 しかしまあ、去年の10月から一度も降りず上がったまま、雨にさらされ風に吹かれ、紫外線にも負けず年を越し、いまだに錆びずはげず毛並の光沢を保ったまま、同じ姿勢を崩さず9カ月、以前のブリキ材からは考えられない強さだニャン!。 |
中川泰朗(なかがわ・やすお)
「しあわせ それとも ふしあわせ」
2006年/60.6× 60.6×206 cm ブロンズ、亜鉛鋼板、鉄、ステンレス |
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■彫刻漫才 outside |
■出展作家:小林陸一郎・石野耕一・津村健一・外磯秀紹・中川泰朗・藤本修三・水本智久・吉野央子 |
■会期:2006年10月5日[金]〜2008年 春 開催中 |
■会場:OAPアートコート彫刻の小径 |
■住所:〒530-0042 大阪市北区天満橋1-8-5 OAP大阪アメニティパーク ■MAP |
■主催/企画:アートコートギャラリー(有限会社八木アートマネジメント) |
■ストリート・アートナビ取材:展覧会 Art Scene Page-1 Page-2 Page-3 |
■彫刻漫才 inside 会場:アートコートギャラリー/ARTCOURT
Gallery/会期:2007年5月11日〜26日 |
■会期:2007年5月11日〜26日 ※終了しました。 |
■住所:〒530-0042 大阪市北区天満橋1-8-5 OAPアートコート1F ■MAP |
■取材日:2007年5月22日・24日 掲載:2007年6月13日(水) |
■取材・写真・Webデザイン:ストリート・アートナビ 中田耕志 |
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