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■「第38回日展
京都展」 |
会場:京都市美術館(岡崎公園内)会期:2006年12月16日[土]〜2007年1月14日[日] |
■ストリート・アートナビ:展覧会シーン/開会式/日本画/洋 画/彫 刻/工芸美術/書 |
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人生のみならず、世界の情勢もこの先、予測もできない。しかし希望を持ち前進したい。古今和歌集からそんな内容の二首を選んだ。横書きで、各行の変化と、盛り上がりに苦心したが、なかなか思うようには書けなかった。 (あかえ かじょう 評議員) |
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赤江 華城
「白 山」
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・授賞理由:深みの追求からもたらされる重厚な線は、この作家の書に向かう真摯な姿勢を反映し、長い鍛練を物語る。墨量の変化を際立たせて、立体的に構成される散らしは至妙であり、高い格調がただよう風趣ある秀作である。
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一作品の中で疎密、白黒は少しのタッチの違いで、相変してしまう。恐ろしい世界で、特に大字作品は顕著に現われる。脇字の三つの力の変化、右上部、中間下部の空間の対比、大いに苦心したが、今現在目標としているものを注入できたのではないかと思っている。(たかき せいう 会員・審査員) |
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高木 聖雨
「協 穆」(きょうぼく) -
・授賞理由:豪快な力強い感触の線、現代的な新鮮なフォルム、紙面全体に生命感と熱気が横溢する。線に磁力的な効果が働き、広々とした空間に深遠な響きが発生した。
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「天龍に駕す」と読み自作語です。「乗龍」という語がありますが、乗と駕は同義なので駕の字を採用しました。天龍は天上の龍の意ですが龍がそもそも想像の動物故無論『駕天龍』も想像です。龍の字は篆書でも形が良いので書きましたが、駕天二字との調和に可成りの苦心を感じました。然し結果は思い半ばに終わった感じです。 (うめはら せいざん 参事) |
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竹内 勢雲
「恋」 |
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▲左から:[特選]山本 高邨「やまざと」・[特選]堂本 雅人「花下に醉う」・[特選]日賀野 琢「寂蓮詩」・[特選]船尾 圭碩 「心象」・[特選]井上 清雅 「詩經 秦風・小戎」 |
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余白に響くカリッとした線で内側からほとばしるような生命感や強さを持ち、スケールの大きな作品をと願っています。今年の春に開催された「書の国宝墨蹟」展で、その作品の存在感、精神性に感銘を受けて何度も足を運びました。いつか自分も少しでも近づけたらと念じながら制作しましたが志だけになってしまいました。 (どうもと がじん) |
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[特選]
堂本 雅人
「花下に醉う」 -
・授賞理由:大きく空間を制した堂々たる筆使いの快作である。古意豊かで、造形感覚に秀れ、しかもスケールの大きな人間性を示し、魅力いっぱいの作品となった。花の下に酔う日本人の姿が、目に浮かぶようである。
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余白に響くカリッとした線で内側からほとばしるような生命感や強さを持ち、スケールの大きな作品をと願っています。今年の春に開催された「書の国宝墨蹟」展で、その作品の存在感、精神性に感銘を受けて何度も足を運びました。いつか自分も少しでも近づけたらと念じながら制作しましたが志だけになってしまいました。
(どうもと がじん) |
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[特選]
船尾 圭碩
「心 象」 -
・授賞理由:筆の弾力を生かした変化に富んだ凛とした線としなやかな線の調和が美しい。行の貫通力、行間の交響の美は見事、中央部の動的な運筆と筆致が作品をひきしめている。特に紙面の余白が美しい佳作である。
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寂蓮の清爽かつ幽玄な情景描写の一節に心動かされ、題材に選びました。殷周金文(青銅器の銘文)を素材に、造形的な調和、緊密な空間の響き合い、線の多様性の追求を表現の主眼としました。 今、古代文字特有の性霊的な生命感、神秘的な形象性に限りなく魅了されています。(ひがの たく) |
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[特選]
日賀野 琢
「寂蓮詩」 -
・授賞理由:古代文字、殷周青銅器の銘文の文字を素材にした造形性豊かな作品で、書法的錬度の高さと感性が光る。正面向きの凛とした姿勢の中に作者の心の鼓動と現代の風が生きづく意欲的な作。爽やかな空気が横溢する。
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▲展覧会の詳細は上の画面をクリック。 |
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後書き:
第38回 日展京都展の記者内覧会と開会式へのお誘いがあり、12月15日、16日の両日にわたり日展を初めて取材した。内覧会の15日はそれまでの曇り空から快晴に恵まれ美術館横の疎水の欄干から眺める風景はまだ秋の名残りがあり、平安神宮の大鳥居の朱が眩しかった。午後3時からの美術館応接室での説明会では、日展京都展実行委員会の方々が列席されていて、村井館長の挨拶で始まり橋本日展理事長から説明があり来年(2007年)から東京展の会場が新設された六本木の国立新美術館に移ることや、日展が今年に明治の文展開設から数えて99回目を迎える今、『日展、動く。』をキャッチフレーズの下に会員の作品制作にもマンネリに陥ることなく新たな姿勢で取り組んでいる中での今回の公募展でありその成果を強調された。応募数も13,525点と今迄で一番多く、入選率は17パーセント弱と厳しい。作者に望むことは清新で、自己主張のある作品、多少のはったりはあっても類型化を破ろうとする姿勢が欲しい。日展を人から見たら少しの変化に見えないが絶えず変わって来ているとトップとしての所感を話された。 さらに5部門の陳列指導理事から各々応募の様子や作品の感想等を述べられた。日本画では、中路融人(なかじゆうじん)先生が「若い方、フレッシュな方の活躍が目立ち、新入選が42点あり、なまぬるいベテランの方は落選した。新鮮で魅力的な美術作品が多く次につながる力を感じた」。彫刻の雨宮敬子先生は「最後の上野の展覧会のせいか、レベルが高い作品が多く、新入選は13点で内女性が7点と半数を越えた。京都会場では久し振りに広い展示場を使え空間の構成の大事な彫刻展示には良かった」。工芸美術担当の大樋年朗(おおひとしろう)先生は「応募数は1,095点あり入選は617点、地方会場としては一番多い、東京は過密だがここは立派な展示会場になりました」。書の日比野光鳳先生は「応募数は9,593点で入選は763点(7.9パーセント)、漢字仮名混じり文(調和体)がはやっているが、初心者には難しい。基本を修めてから取り組むのが望ましい。書道界の最高の展覧会である日展が平安時代から続く千年の美の中できるのが素晴らしい」。最後は洋画の庄司栄吉先生で「『日展、動く。』をキャッチフレーズに取り組んでいる。会場を一巡すると若い人のエネルギーを感じる。日展の存在感を示している。アカデミックなデッサンや造形的なものにとらわれず、ヨーロッパではセンスや感覚が第一に重視されるが、どういうものが新しいかを考え、若い人には頑張って欲しい。前進して欲しい」。と締めくくられた。16日の開会式と作品取材を終えた帰りにせっかくだから平安神宮まで足を伸ばし観光気分を味わった。 |
(STREET ARTNAVI・中田耕志/取材メモより) |
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■第38回
日展 京都展 |
会場:京都市美術館 会期:2006年12月16日[土]〜2007年1月14日[日] |
■ストリート・アートナビ取材:展覧会シーン/開会式/日本画/洋 画/彫 刻/工芸美術/書 |
■取材日:2006年12月15日・16日 掲載:12月24日 ART SCENE/Street Artnavi |
■取材・写真・Webデザイン:ストリート・アートナビ 中田耕志 |
※上記の説明、写真キャプションは展覧会報道資料、展覧会図録、日展アートガイド、記者内覧会を参考にしました。 |
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