◆西天満(梅田と淀屋橋の中間の東側に位置する)にある番画廊は現代美術発表の場である。平面から造形、立体と幅広いジャンルのアーティストが利用する。作品のレベルも常に高く何時、訪ねても何か新しい発見と印象が残る。
そんな感じで、サンちゃんは今回、『犬も歩けば棒にあたる』でふらりと寄ってみたのがきっかけだった。正面の壁面を中心に写真のような120号の大作が5点と最近始めたという銅版画が10数点展示されていた。第一印象はこれはいい、新しいものと出会ったと思い、まず銅版画から観て次に本命のタブローを1点ずつじっくり鑑賞させて頂いた。
その日は終了間際だったので、改めて翌日の3時から正式に取材した。
『卓上生活者』は最初、いかだに乗っている人をイメージしたが何故かレストランのテーブルに変わっていく、だから画面の左下で魚を釣ったり、水に落ちるのが怖くテーブルにしがみついている者がいるのが自然にみえてくる。
作品『葡萄酒』は作者がお酒が好きで、それを楽しむシーンを描いている。ギリシャ神話の酒の神バッカスのような人物のあごひげが手に変わりワイングラスを持つ、そのワインも何故か煙りか湯気のように昇っている。葡萄の房がたちまち葡萄酒に変わる。醜女が失恋を忘れようとワインを口にする?。
作品『3人ポンチョ』 寒い日に暖かくしようと三人でポンチョにくるまっている。だけどクレージーパッチワークのようなガラス素材のステンドグラス柄のポンチョだから熱くなり過ぎない。(オーバーヒートを防ぐためかな・・・?)
作品『a green dog』は犬を連れてお散歩。自分の中のかっこいい人達、タイトなコスチュームを身にまとう黒人を(画面左、なぜか白い足)緑のうんちをしている愛犬の視点から描いている。(拡大写真はございません。)
作品『a pink bench』 公園でファッショナブルで“ぜんぜんかっこいい若者”が座っている。私印のコーラはどろどろしている。おこぼれを野良猫が狙っている。
◎素晴らしい銅版画作品も多数あったが、焦点がぼけるので今回は掲載をあきらめた。
しかし、山本まゆみさんの面構え(本人曰く“ソラマメ顔”)は何というか、しっかりしている。眼に力がありそれでいて全体に可愛さがある。一つのキャラクターだ。(独身)
最後にこのようなイメージ豊かな個性的な作品はどこから湧き出てきたのか興味を持ったので作者に単刀直入に聞いてみた。
エスキス(下絵)を画く時、利き腕でない、ゆうことのきかない左手の力を借りる。自分の意識だけではしれているので潜在意識の助けも借りる。左様のパワーを頂戴して我ながら面白いイメージが次々紙に画かれて行く。さらに眼にした画面上のイメージがさらに次のイメージを呼び予想のつかない展開になる。(それを楽しむ作者の得意満面、にやにや顔が浮かぶ。)
完全なオートマチズムでないので、途中はこじつけになったっり、イメージの切り貼りや、意識の中にある決してひっつかないもののイメージのぶつかりあいだったりする。
山本まゆみの世界は作品と対話したくなる。美と迫力がある。次を観たくなる。
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