ステレオ一代記
1.イントロダクション
11.Do It Yourself!-4
12.オーディオベーシック「ケーブルクロスレビュー」掲載記念
「我が電線奮戦記」
13.Do It Yourself!-5
14.円盤日記
15.Do It Yourself!-6
16.Do It Yourself!-7
17.Do It Yourself!-8
18.Do It Yourself!-91.イントロダクション
最近、こういったオーディオ製品に金をかける人は少なくなった。「聴ければいいじゃん」と。昔はオーディオに力を注いでいた店が少なくなり、パソコンがそれに替わった。ところが逆にカーオーディオは好調だ。カー用品店にはこれでもかとばかりにイルミネーションの華やかな商品が並び、とくにRV用の大型のサブウーファーが文字通り幅を利かせている。「車が最高のリスニング・スポット」らしい。これには耳を疑った。車は音響的には最悪と言っていい。高音も低音もシートなどに吸い取られるので無理やり増強した、もの凄く不自然な音ができ上がる。しかしそれが彼らにとって「いい音」というわけだ。まあ人の好みにケチをつけるわけではないのでこれくらいにしておくが、まだ「音を楽しむ」ということ自体は無くなっていないわけだ。確かに人里離れた一軒家でもないかぎり思う存分音を鳴らす事は出来ない。しかし自宅のミニコンポのスピーカーを変えるだけで今まで聴いてきた音楽が恐ろしく別の表情を見せるものなのだ。
ま、そんな堅苦しい能書きはともかく、これが自分のシステム。
マニアから見れば、「窓際に置くとは何事か!」と言われそうではあるが、仕方がない。こう言ったマニアックなものと共存させて、雑誌に載せたくなるようなコじゃれた部屋を目指しているんだから(←ウソ)。
さて、システムの内容ですが(1999年8月当時のシステムです)、
アンプ・・・オンキョー A-929
CDプレーヤー・・・ヤマハ CDX-10000
カセットデッキ・・・アイワ XK-007
チューナー・・・ソニー S222ESA
ADプレーヤー・・・デンオン DP-70M
カートリッジ・・・テクニカ AT15Ea
スピーカー・・・フォステクス FE108Σ(スワンa)
スピーカーは、長岡鉄男という人が設計した傑作ボックス。スピーカーの口径自体は10センチと小さいが、もの凄くいい低音が出る。それはこの「スワン」と呼ばれる箱のお陰なのだ。6年ほど前に作ったものだが、ロックの疾走感を出すにはピッタリの音調。とにかく俗にいわれる「低音」というやつがいかに偽物かが良く分かる。とにかく「ボヨ〜ン」とした感じがないのだ。「カチッカチッ」とした、という言い方が妥当か。繊細感には欠けるかもしれないがタイトな低音は迫力十分。
実はもうすぐ第二の自作スピーカーを作るつもりでいる。「限定品」の甘い香りに誘われて、小口径高性能ユニット「6N−FE88ES」を手に入れたのである!これで何を作るか、請う御期待、である。おそらくスワンに比べると、繊細な音になるのではないかと思う。「音楽に合わせて、またその日の気分に合わせてスピーカーを変える」と言った誠に贅沢なことが出来るわけだ。しかも非常にローコストで済む。これが自作の醍醐味である。
…なんて書いていたら東急ハンズからカットした板が届いた。じゃあ作るとしよう。
アンプ(右の写真下)は去年の秋ごろ購入。定価なら17万程度だが、中古屋で7万弱でゲット。以前はソニーのE222ESAを使っており、ロック&ポップス向けの元気な音はまずまず気に入っていたが、前述した中古屋で試聴したところ、その芳純な音は自分をグイグイと引き込んでいったのだった。どちらかというとあっさりしたタイプのスピーカー・CDプレーヤーなのでこのまろやかさはバランスをとる意味で正解だった。
CDプレーヤー(上)は前上司から譲り受ける。定価は40万とのことだが、12年前のモデルだ。今いくらに相当するかは分からない。しかしこの25キロという重さはコスト度外視で作った事は明らかで、それは今にも通用するもののはずだ。音はいわゆる「ヤマハ・サウンド」で、繊細な音が出る。細かいニュアンスを伝えるには最適だ。
と、単品オーディオの楽しみの一つは「組み合わせの妙」だ。この「豪快」スピーカー+「芳純」アンプ+「繊細」CD。これらキャラクターの違うものが組み合わさったときどういう音になるのか…もう楽しくて仕方がないものなのだ。自分の場合、自作したり中古屋を利用したり、人から譲ってもらったりと、かなり恵まれた環境にあると思う。全て新品でやろうと思ったら大変なことになるだろう。しかし大変なことになっている人が多いわけだ、この世界は。下手をすると車どころの騒ぎじゃない。何千万もつぎ込んでしまう…というまさしく趣味の王様と言えるものなのだ。