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●展覧会スケッチ |
●葛飾北斎「虎図・龍図」
本展覧会の案内パンフで「虎図」を見た印象は、猫のような可愛い表情の虎だなと思った。こんな顔で龍と対決出来るのだろうか?と心配した。会場で写した写真をモニターで大きく拡大してじっくり見てみると、歯や牙が小さく描かれていてどう猛さに欠ける。しかし足の爪は立派で逞しい。北斎自身も老境に入り既に長く、江戸時代も長く大平の世が続いたので牙も丸く小さくペットのようになったのもなるほどかな。それにしても万葉の昔から戦前(大平洋戦争)迄は、中国文化の影響か虎と龍をモチーフにした物が多い。プロ野球にも中日ドラゴンズ、阪神タイガースと今も続いている。 百年振りに龍虎があいまみえるというのでインスピレーションが浮かび二頭の睨みあいを、武田信玄と上杉謙信との川中島の合戦を連想しながら一枚の絵にしてみた。もしも江戸時代に生まれていたら自分はやはり絵師になっていただろう。
●葛飾北斎「諸国瀧廻り 下野黒髪山きりふりの滝」
(しょこくたきめぐり しもつけくろかみやまきりふりのたき) 筆者は16歳(高校2年)の頃、夏休みの模写の課題にこの「きりふりの滝」を描いたことがある。太陽?か何かの本にあったものから気に入ったものを選んだと思う。滝と言えば高い所から真直ぐ落ちる大阪の「箕面の滝」しか知らない自分にとって、この数条に分かれて落ちる滝は信じられなかった。(この霧降りの滝は、華厳の滝、裏見の滝とともに日光三名瀑のひとつに数えられ、岩に当った水が霧のように降ることからその名がある。日光東照宮への参詣者にも親しまれてきた滝である。)成長するということは、自分の目で広い世間、世界を見ること知ることと覚えたが、いまだに那智の滝も華厳の滝もナイアガラの滝もテレビでしか見たことがない。版画を模写するのは、いま考えたら変だが当時はあまりに滑らかな線だったので気が付かなかったかも知れない。それにしても画面に描かれている旅人が二人、滝を尊敬するかのように足を揃えて見上げいる、上のほうでは、慎重に滝つぼを覗いている人の姿が北斎の気持ちを佳く表している。せっかく描き上げた物を好きな彼女にプレゼントした。
●葛飾北斎「千絵の海 総州銚子」
(ちえのうみ そうしゅうちょうし) ダイナミックで全てを呑み込もうとする海の引き波と寄せ波が一画面の中で描かれている。海の中には山があり川も流れていると心得ている漁師が逆らわず船を操っている。「きりふりの滝」もそうであるように一瞬たりとも止まることのない水の流れをこれほどまでに描くとは、北斎自身の体験と観察眼の非凡さが知れる。深い芸術性を持つ名品である。 |
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■「ギメ東洋美術館所蔵 浮世絵名品展」
パリを魅了した江戸の華−北斎・写楽・歌麿 |
会場:大阪市立美術館 会期:2007年4月10日[火]〜5月27日[日] |
■ストリート・アートナビ取材:展覧会シーン/Page-1/Page-2/Page-3/Page-4/Page-5 |
■春信/写楽/歌麿/北斎/広重/清長/豊国/春英 |
■取材日:2007年4月9日 掲載:4月12日/追加掲載:5月2日 ART SCENE/Street Artnavi |
■取材・写真・Webデザイン:ストリート・アートナビ 中田耕志 |
※上記の説明、写真キャプションは展覧会報道資料、展覧会図録、同展説明会を参考にしました。 |
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