酒匂溪香(さこうけいか) ・書展 「月(つく)よみの光を待ちて」SAKOU Keika Exhibition
会場:ギャラリーアライ/ Gallery Arai 2009年 10月29日[木]〜11月10日[火]
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酒匂溪香(さこうけいか)・書展  会場:ギャラリーアライ
酒匂溪香(さこうけいか)・書展  会場:ギャラリーアライ
 書家・酒匂溪香氏(さこうけいか)ギャラリーアライにて
騰々任天真
騰々任天真

騰々任天真
生涯身を立つるに懶(ものう)く 騰々として天真に任す 嚢中三升の米
炉辺一束の薪 誰か問はん 迷悟の跡 何ぞ知らん名利の塵 夜雨
草庵の裡 雙脚等間に伸ばす 良寛詩
(訳)生計を立てることも出世することも私の性分にあわず、 自然にまかせてのほほんと過ごしている 托鉢袋には三升の米があり 炉ばたには薪一束がある(これで十分である)
良寛長歌「月の兔」
良寛長歌「月の兔」

石の上(いそのかみ)古(ふり)にしみ世に有(あり)と云う 猿(まし)と兔(をさぎ)と狐(きつに)とが友を結びて朝(あした)には野(ぬ)山に游(あそび)夕(ゆふべ)には林に帰(かへり)かくしつつ 年の経ぬれば 久方の天(あめ)の帝(みかど)の聴(きき)まして其(それ)が実(まこと)を知(しら)むとて 翁(おきな)となりてそが許(もと)に よろぼひ行(ゆき)と申すらく 汝等(なむだち)たぐひを異(こと)にして 同じ心に遊ぶてふ 信(まこ)と聞(きき)しが 如(ごと)あらば翁が飢(うゑ)を救へとて 杖を投(なげ)て 息(いこ)ひしに やすきこととて ややあり(て)猿はうしろの林より菓(このみ)を拾ひて来りたり 狐は前の河原より魚をくわひて与へたり 兔はあたりに飛び飛(とべ)ど 何もものせでありければ 兔は心異なりと 詈(ののし)りければ はかなしや 兔計りて申すらく 猿は柴を刈りて来よ 狐は之(これ)を焼(たき)て給(た)べ 言ふが如(ごとく)に為(なし)ければ 烟(ほのほ)の中に身を投げて 知らぬ翁に与けり 翁は是を見よりも 心もしぬに久方の天を仰ぎて うち泣て土に僵(たふ)りて ややありて胸打叩(うちたたき)申すらく 汝等みたりの友だちは いづれ劣るとなけれども 兔は殊(こと)にやさしとて 骸(から)を抱(かかへ)て 久方の月の宮にぞ葬(はふり)ける 今の世までも語継(かたりつぎ)月の兔と言ふことは 是が由にてありけると 聞(きく)吾(われ)さへも白栲(しろたへ)の衣の袂(そで)は とほりてぬれぬ

良寛長歌「月の兔」

壽

壽の元の意味は田んぼのあぜ道に神さまに祈る言葉を入れる器があちこちにある様子を表わしている。
月 兔

月 兔
兔は 殊にやさしとて
骸(から)を抱(かかへ)て 久方の
月の宮にぞ 葬(はふり)ける
良寛 長歌より
花は無心にして蝶を招く 蝶は無心にして花を尋ねる
花は無心にして蝶を招く

花は無心にして蝶を招く 蝶は無心にして花を尋ねる
白華山の頂にある圓通寺で
白華山の頂にある圓通寺で

白華山の頂にある圓通寺で禅の修業に 励んで
いた若き日の良寛は眼下に広がる 瀬戸内の
海を眺め遠い故郷を懐った ことだろう
二○○九年 夏 圓通寺に詣でて思う
遊びをせんとや生れけむ
戯れせんとや生れけん

遊びをせんとや生れけむ 戯れせんとや生れけん
遊ぶ子供の声聞けば 我が身さへこそ 動(ゆる)がるれ
(梁塵秘抄より)
(訳) 子供は遊びをしようということで生まれてきたのだろうか 戯れをしようということで生まれてきたのだろうか。 遊んでいる子供の声を聞くと大人である自分の身体までが自然に動き はじめることだよ。

月よみの 光を待ちて帰りませ 山路は
栗のいがの多きに  良寛のうた
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酒匂 溪香(さこうけいか)プロフィール
Profile of SAKOU Keika
鹿児島市生まれ。
7歳より書を始める。
2000年、所属していた師の社中を退会独立。
現在は、個展活動を中心に「共感できる書」を目指す。
1998年より毎年、西宮、大阪で個展、グループ展を開催。2002年には、大東市野崎観音慈眼寺本堂に於いて、胡弓奏者・楊 興新(ヤン・シンシン)氏とのコラボレーション「墨と胡弓の宴」を開催した。
西宮市在住
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これまでの展覧会シーン
展覧会シーン(2004年07月 ギャラリーさんびいむ/大阪市)
展覧会シーン(2004年10月 酒ミュージアム 酒蔵館/兵庫県西宮市)
展覧会シーン(2005年10月 酒ミュージアム 酒蔵館/兵庫県西宮市)
展覧会シーン(2006年10月 酒ミュージアム 酒蔵館/兵庫県西宮市)
展覧会シーン(2007年05月 ギャラリーアライ/兵庫県西宮市)
展覧会シーン(2007年10月 酒ミュージアム 酒蔵館/兵庫県西宮市)
展覧会シーン(2008年10月 酒ミュージアム 酒蔵館/兵庫県西宮市)
展覧会シーン(2009年11月 ギャラリーアライ/兵庫県西宮市)
展覧会シーン(2010年04月 西宮・廣田神社/兵庫県西宮市)
展覧会シーン(2010年05月 雅之郷 能楽堂(琴弾公園内)/香川県観音寺市
展覧会シーン(2010年06月 川鶴酒造『鶴鳴館』/香川県観音寺市
展覧会シーン(2011年11月 ギャラリーアライ/兵庫県西宮市)
展覧会シーン(2011年11月 雅之郷 能楽堂(琴弾公園内)/香川県観音寺市
展覧会シーン(2012年11月 京町家空感 千香月(ちかげ)/京都市
展覧会シーン(2013年11月 ギャラリーアライ/兵庫県西宮市)
展覧会シーン(2014年11月 雅之郷 能楽堂(琴弾公園内)/香川県観音寺市
展覧会シーン(2015年11月 ギャラリーアライ/兵庫県西宮市)
展覧会シーン(2016年10月 ギャラリー雛(ひな)/兵庫県西宮市)

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酒匂溪香(さこうけいか)・書展 「月(つく)よみの光を待ちて」
会場:ギャラリーアライ/Gallery Arai
会期:2009年 1029日[木]〜1110日[火]
※11月4日(水)は休廊 AM11:00〜PM7:00(最終日は〜PM5:00まで)
ストリート・アートナビ取材:展覧会シーン ART SCENE/Street Artnavi
取材日:2009年10月29日(木) 掲載:2009年11月2日 追加掲載11月9日
取材・写真・Webデザイン:ストリート・アートナビ 中田耕志
書の力
 余談だが筆者はことのほか将棋が好きで、昔、小林健二プロの教室に通う他、街の道場やアマチュアのクラブに通っていた。今から丁度10年前にこのアート情報サイト・ストリートアートナビを立ち上げるため、サイトが軌道に乗るまでと仕事に集中するために将棋断ちをした。日曜日のNHK将棋トーナメントと新聞将棋を楽しみに見るぐらいだったが…。
 
今年の5月に事務所を移転する機会に自分自身を振り返り、6月から将棋を復活した。クラブの先輩、仲間が「よく来てくれたと」超久々の顔出しなのに歓迎してくれた。昔から筆者が一番年が若かったが、みんな更にお年寄りになっていた。(浦島太郎のような気分だった。)
 
だが将棋は想像した通り、勘が戻らずこてんぱんに負かされ散々な目にあわされた。久々だから仕方がない。早速、家にあった将棋の戦法書をさがし読んでみた。
 
8月のお盆の頃に阿倍野近鉄デパートで例年開催している「近鉄将棋まつり」があるので、予定表をインターネットで調べると、丁度、渡辺 明竜王(初代永世竜王の資格を持つ)が記念対局に来場されることを知り(ちなみに最終日は羽生善治名人の記念対局で会場は女性や子供も多く満員で立見入場になり、階段に座り観戦した。)、いつも気になっていたので本物はどのような方か仕事の途中で抜けて近鉄アート館に足を運んだ。小柄で昔の大山康晴大名人のような風貌で(テレビでしか見たことがないが…)、記念対局の将棋も当然ながら勢いそのままで強かった。会場内に将棋に関連するグッズが販売されていたので、最近の将棋戦法に触れたく、せっかくだから渡辺竜王に敬意を表し発行したばかりの「永世竜王への軌跡」という永世竜王誕生までの自戦記集の本を手に取った。家では夜中や早朝にその本を開き、将棋盤と駒を出し竜王の棋譜を並べ、プロの将棋の奥深さと渡辺竜王の各対局毎の心の動きを描写したコメントを楽しんでいる。特に2008年、第21期竜王戦の七番勝負の最終局の見出し「全てを賭けて」の棋譜とコメントには心が震えた。挑戦者羽生善治名人も永世竜王の資格が懸かっていた。渡辺竜王はタイトル戦で3連敗からの4連勝の前人未到の難関に挑んだ。将棋界では100年に一度あるかないかと騒がれた大決戦に勝利した。同じ本の中に、渡辺明竜王の書のエピソードと写真があった。タイトルを取ると色紙や扇子に揮毫(きごう)する機会が増える。渡辺竜王は書に自信がなく困っていたら、女流棋士の石橋幸緒(いしばし さちお)さんに「少しはましになりますよ」と誘われて手ほどきを受けた。カット写真には習う前の色紙と石橋女流棋士に指導を受けた後の色紙が隠すことなく『どうぞ比べてください』とばかりに並べてある。見ればここまで『君子は豹変す』とばかりに激変していた。まるで龍が水辺から空へ駆け上がるような書で勢いがあった。まさに竜王に相応しい書に成長していた。書の力は渡辺明竜王に盤外である将棋ファンとの交流の場での自信を与えた。
 今回の
酒匂溪香・書展には『書には人の心を動かす力があるんだ』と改めて新しい気持ちで取材した。自分が納得いくまでじっくり作品を見、そして作家に色々と質問をして酒匂溪香の書の原点を改めて知り、さらに変わらない端然とした人間性の魅力を感じた収穫の多い展であった。
2009年11月9日 ストリート・アートナビ/中田 耕志
酒匂溪香・書展の詳しいご案内
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