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<おとぎ話には夢がある>の巻 |
かんちゃん(以下K)「いや〜、久々にゆったりした気分になっち
ゃったよね〜。」 ひろっち(以下H)「本当にね、静かな感動!ってやつかな〜。」 あき(以下A)「なによ、2人とも。自分達だけで感動しちゃって さあ。何にそんなに感動したって言うわけ?」 元子(以下M)「そうよ、あんた達。イヤナ感じだわ〜。」 K「やだな、元子さん。ただね、今さっき映画見てきた所なんですよ。」 M「あら、そうなの。で、何見てきたのかしら?そんなに感動する映画っ て?」 H「ほら、この前ペンギンのホーム・ページで紹介されてた<サイダー・ ハウス・ルール>ですよ。あきちゃんが絶対良いわよって言ってたからさ 、すぐ行ってきました。」 A「あ〜、行ってきたの。アッシもついこの前行ってきたわ。原作とは違 う所もあったけど、本当に良い映画だったわね、淡々としていて。」 M「淡々としてて、か。でも、眠くならないでしょうね、淡々としている と。」 H「それが、あっという間の2時間ちょっとだったんですよ。」 K「ホントだよね、あっと言う間だった。」 A「あんなに不幸な出来事が山ほどもあるのに、見終わった時にあれほど ほのぼのとした感じで劇場を出てこれたのも、何か久しぶりの感じがした わね。」 M「あら、そうなの?じゃあ、見に行ってみようかしら。(と、ぴ〇を取 りだし劇場を捜す)あ〜、武蔵野館ね。ここだったら新宿駅にもすぐだし 、この季節、夕立ちが多いからね、すぐに電車に乗れるのが良いわよね。」 A「何ブツブツ言ってるのよ。明日にでも行ってきたら良いじゃないよ。」 K「ところであきちゃん、最後のテロップ見てたらね、原作者のジョン・ アーヴィングって名前があったんだけど、あれって彼なのかな〜?」 H「良くみてるよね、俺なんか全く気づかなかったけど。ホントに書いて あったっけ?」 A「よく判ったわね。ちゃんと出てたわよ。」 K「何処ですか?教えてくださいよ。」 M「ちょっと!止めてちょうだい。まだアタシはこれから見に行くのよ。 ん〜、でもちゃんと確認しなきゃいけないからヒントだけ教えて、ねっ。」 A「ヒントはね、最初と終わりの方で出てくる場所。かな?」 M「あき、それじゃ全く判らないじゃないのよ。第一、彼の顔も分らない のよ。どうやって捜すのよ。その他大勢だったら捜せるわけないじゃない よ。」 A「あんた、聖子が<アルマゲドン>に出てた時は皆が判らない場面でも ちゃんと捜せてたでしょ、聖子の事。大丈夫よ。今回の場合はね、場面に 出ている人がほとんどいないから。すぐ判るわよ、きっと。」 M「わかったわ。その場面は目を皿のようにしてしっかり見とくわよ。」 K「ジョン・アーヴィングって<ガープの世界>でもカメオ出演してまし たよね。」 A「あ〜、そうだったわね。え〜と、確か〜、レスリングのレフリー役だ ったかしら?」 K「そうそう。よく思い出しました。だから今度もきっとちゃんとした役 で出ているとは思うんだけどな。」 M「かんちゃん、任せときなさいよ。アタシがちゃんと見てきて報告して あげるからね。」 H「でも、とっても不思議な映画だったよね。さっきもあきちゃんが言っ てた様に、悲しい出来事が沢山出てくるのに見終わると何だかとても爽や かなんだよね。」 K「そうそう。彼の書く小説を読んでいてもそれは感じるよね。」 M「それって、<おとぎ話>みたいじゃない。」 H「おとぎ話?何ですか?どういう意味なのかな〜?」 M「だって、悲しい出来事って言うのは、たとえ文字の上の出来事だとし ても限りなく現実に近い事でしょ。その悲しい現実を見た後に爽やかさが 訪れるとしたら、それは、その話しがおとぎ話だからじゃないの?」 A「流石は元子ね。伊達に年は取ってません、ってな感じね。鋭い視点ね 。おとぎ話か。分る様な気がするわ。」 H「おとぎ話って言えばさ、この前観に行った芝居、何だっけ?あのプロ レス技の出てくる。」 K「あ〜、南河内万歳一座ですよ。」 H「それそれ。あの芝居も何かおとぎ話っぽかったよね。」 A「<なつざんしょー夏残暑ー>ざんしょ。」 一同「サブ〜イ。」 M「それもおとぎ話なの?」 H「俺はおとぎ話っぽく思えたけどな。」 A「そうね、あれもおとぎ話じゃないのかしらん。」 M「あきも観に行ったのね、もう一つのおとぎ話を。」 A「そうなのよ。あの劇団はね、昔から観に行ってるのよ。とても好きな 芝居するから。でも、ここ何作かはチョット?ってな感じでさ、今回もど うしようかなって迷ったんだけど行って良かったわね。」 H「そうでしょ。良かったよね〜。現実なんだか夢なんだか分らなかった けど、観終わった時にやっぱり爽やかな感じだったもん。」 K「まあ、そうだったけど、なんか良く分らなかったな、僕は。でも笑え たよね。」 A「アッシの好きな芝居ってね、ああいった夢を見ている様な、でも現実 もしっかりそこにあるっていう芝居なのよね。だから、今回の芝居はとて も良かったのよ、アッシにとっては。」 M「現実と夢なの?どんな内容なのかしら。」 A「会社が危ないと思っている営業のサラリーマン達。これは現実。その 中で<幻の夏>を求めて3億円が当たる宝くじを1万円で買ってしまった 社員の目白。これは夢。というか、夢を見ているっていう事。そして宝さ がしを巡るドタバタ。これも夢。リストラされた部長と課長が詐欺行為で 捕まってしまう。これ現実。はずれた宝くじ。これも現実。それでも来年 の夏はと夢見る目白。そしてまた夢の世界へと.....。」 M「何だか複雑そうだけど面白そうね。アタシ行ってみようかしら。」 A「残念でした。もう終わりなのよ。それに、来年は結成20周年とかで 1年の休団。」 H「えっ!1年の休団?そんなに休んじゃうんですか。」 A「あそこの劇団はさ、10年めの時も1年休団してるのよね。」 K「一年間の休みか。僕にとっては夢のまた夢。おとぎ話の世界ですね。」 A「そうね、夢のまた夢。」 M「良いじゃない。それが例え夢だったとしても、1年間おとぎ話の世界 を捜しに行ったと思えばさ。そしてまた帰って来てから<夢のようなおと ぎ話>を観せてくれれば。そうでしょ、あき。」 H「流石、元子さん。伊達に年は取ってませんね。」 M「またその言葉。ヤダヤダ。もっと違う言い方出来ないのかしら?全く 夢も希望もないじゃないのよ。」 K「でもさあ、おとぎ話には夢がありますよね。僕もそんなおとぎ話を夢 みたいですね。」 H「ほんとだよね、おとぎ話か。」 A「ちょっと、あんた達。おとぎ話には夢があるのもいいんだけどさ、ち ゃんと現実も見なきゃダメよ。分ってるの?」 M「あら、そろそろ終電。これも現実だわね。さっ、帰ろうかしらね。」 H「じゃあ、俺も。明日も仕事だし。」 K「悪いんですけど僕も帰ります。」 A「あら、みんな帰っちゃうのかしら。淋しくなっちゃうわね。」 M「あき、これも現実よ。」 A「そうよね。じゃ、気を付けてね。みんなちょうど二千円ずつです。あ りがとうございました。」 K;H;M「ごちそうさま。おやすみ〜。」 A「おやすみ。またね。いってらっしゃい。」 おわり *登場人物は全て仮名です。 |