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<夏が終わってまた一人>の巻 |
十三雄(以下T)「先日は本当に有難うございました。」 あき(以下A)「お疲れ様ね、本当に。わざわざありがとう。」 T「それじゃあ、失礼します。」 A「は〜い。ありがとう。お休み!」 松(以下M)「何、何?誰なの、今の人。」 桂(以下K)「あれ?松さん知らないんだ、十三雄ちゃん。ほら、芝 居やっている人だよ、この。」 M「え?あ〜、この芝居か。プロジェクトニュートラルの<八月の森へ行 こう>ね、あきちゃんが行くって言っていたやつ。」 K「そうそう。僕なんか涙が出ちゃって大変でしたよ。」 M「そんなに良かったんだ。あきちゃんはどうだったのかな?」 A「そうね、またしても良かったかな。すごく表現するの難しいんだけど 、アッシが何時も観に行っている芝居ってプロ中のプロが演ってたり主宰 してたりするものがほとんどじゃない。だからこれからっていう人達の芝 居ってとても新鮮に見えるのよね。」 K「そうなんだ。僕なんか凄いな〜って思っちゃいましたけどね。」 A「芝居の見方としてはもっと素直な方が良いと思うんだけどさ、<あっ 、このシーンは映画のあの場面だ>とか、<あの芝居でやっていた方法だ わ>とか思っちゃうわけね。」 K「でも、僕でもあります、そう思う事が時々。」 A「だからさ、純粋に観れれば良いんだけどね。」 M「じゃあ、何らかの不満はあったんだね。」 A「それは何にでもあるじゃない。よく言うんだけど、アッシはね、その 人が観終わった時にどう感じているかが大切だと何時も思っているわけ。 だから途中に感じた不満や疑問点はそのときにどうなっているか、つまり 、観終わった時にまだ不満や疑問点を感じているのか、それともそれを上 回る感動があるのかが問題なんだと思うのね。」 M「そんであきちゃんはどうなの?」 A「だからさ、またしても良かったって言ってるじゃないのよ。技術的な 面とか脚本についてとかはまだまだ色々課題が残っているとは思うんだけ ど、また次の公演も観たいなって言う気持にしてくれるのよね。」 M「へ〜。そんなに言うんだったら次の公演は是非観たいもんだね。」 K「よかったら一緒に行きましょうよ。次は来年の1月です。ちょっと先 だけど。」 M「じゃあ、近くなったらまた誘ってもらえるかな?俺って忘れちゃうん だよね。この前もさ、フライングステージの公演、うっかり忘れちゃって てさ、住んでるのが近かったから良かったけどチケット持っている奴から 携帯掛かってこなかったら行きそびれちゃうところだったよ。」 K「一度観てみたいんですよ、その劇団。評判良いしね。」 A「あの劇団は結構ちゃんとしてるわね。基礎がしっかりしてるし、作者 で主宰者の関根君って本当に芝居が好きなんだなって感じる事が出きるも んね。」 K「今回のはどういった内容だったんですか?」 M「<真夜中のパーティー>を上演しようと集まったゲイの人達が巻起こ すいろんな出来事から上演にこぎ着けるまでを描いているんだよね、簡単 に言ったら。」 K「<真夜中のパーティー>って、あの芝居ですか?」 A「そうよ、マート・クロウリーのね。もう32年も経っちゃってる芝居 。アッシはとっても大好きな芝居なのよね。」 K「よく劇団ペ〇〇んでもやりますよね。あれは何度か観ているんですけ ど、それを上演しようとして始まるんですから内容はちょっと違うんです よね。」 A「<真夜中のパーティー>を二重構造にした様な芝居かしらね。脚本は しっかりしているわよね。」 M「俺はさ、<真夜中のパーティー>って、ゲイが沢山出てくるけど、世 間で言われているホモセクシャルが内容の芝居だとは思っていないんだよ ね。それよりさ、人間の内に秘めた強さや優しさそして怖さ。初めて観た のは映画だったんだけど、その時出てきた涙は自分の置かれているセクシ ャリティーの情況を思って出た涙じゃなくて、実は人の内面に深く入り込 んだこの映画に感動した涙だったって観終わって感じたんだよね。」 A「アッシもそうよ。だからただのゲイネタで取り上げてほしくないのよ ね。」 K「今度の芝居はそんな事を考えても良かったんですね。」 M「俺はとっても良かった。」 A「アッシも良かったけど、どうしても気になる事があったのよ。」 M「何なのかな?気になる事って。」 A「それはね、好き嫌いの問題なのかも知れないけど、あまりにも<ゲイ >って言葉が多すぎてさ、ちょっとアッシには耳障りだったのよね。何か 台詞として合わないというか何というかさ。」 M「そう言えば強調している様にも感じたかも。」 A「いけないって言ってる訳じゃなくて、そこまで連発して台詞の中に入 れなくても良かったんじゃないかなって思っただけなんだけどね。あと、 芝居の終わり方もちょっと気になったのよね。アッシだったら芝居がはね た所で終わりにするけどなって思ったの。最後の<場>はいらないと思う んだけど。」 M「俺はさほど気にならなかったけどな。」 A「どちらにしても芝居としては良かったと思うのね。2時間半、あっと 言う間に経っちゃったからね。」 K「それだけ評判が良さそうだと劇団ぺ〇〇んも大変だな。確か今年は何 年かぶりでその<真夜中のパーティー>を上演するみたいですからね。」 A「脚本がちゃんとしてるから感動すると思うけど内輪うけに終わらない 事を祈るわね。」 M「頑張ってほしいよな。」 K「本当にね。あっ、そうだ。松さん、良かったら誘って下さいよ。」 M「そうだね、一緒に観に行くか。」 A「それじゃこれからゲームをします、<心の問題>ゲームね。本当に愛 している人に電話を掛ける。相手が出たら1点、名前を言ったらプラス1 点。愛していると言えたら.......。」 M「そんじゃあきちゃん、俺帰るわ。」 K「僕も。何だか怖くなってきちゃったから帰ります。」 A「あら、残念だわ。折角楽しくなると思ってたのに。じゃあ二人ともち ょうど二千円ずつね。有難うございました。」 M「はい、ご馳走様。」 K「ご馳走様でした。お休みなさい。」 A「お休み。ありがとね.....。そしてまた一人になっちゃったアッ シでした、てか。まあ、しょうがないわね。夏も終わっちゃたし。それよ り今月観る芝居のチックでもしましょ。あっ、そうそう。これを読んでる ア・ナ・タ。<心の問題>ゲーム、一緒にしましょうよ。な〜んちゃって ね。」 おわり *登場人物は全て仮名です。 |