431.　上村松園の「女性たちの物語展」の感想です
はじめまして
「女性たちの物語」展の招待券をありがとうございました。
一昨日 風が強い日でしたが展覧会を鑑賞してきました。
感想文を書きましたのでお送りさせていただきます。
フェイスブックのノート欄にものせたく存じます。
久しぶりに美しい線を見て 秋に向けて引き締まる思いがしました。
近鉄学園前駅もはじめてで、駅をでると風情があっていいところでした。

「貴婦人と一角獣展」、上村松園の「女性たちの物語展」
どちらが当選してもうれしかったのですが、松園の方が当たって
奈良にある松柏美術館に行ってきました。
今年は奈良に向かうことが三回目、いにしえの都は意外に
ここから近い距離にありました。
数十枚の上村松園の作品に触れることができました。
印象に残る作品や下絵について書きたいと思います。

「静御前」
屏風絵は、源の頼朝の前で白拍子の静御前が義経を慕う歌と踊りを舞う、
という能の題材からとられていて、六曲の屏風の、いちばん左に苦く見える頼朝、
はさんで左から三枚目に静御前の姿が描かれていました。
静御前、その腰を据えたなんの仕草だろうか赤い袴をはいて腰を落とし頼朝を見やり、
これからいわば敵陣で舞わんとする意志のようなものが絵から感じられました。
屏風を支える両端のおもりは何というのか、小さな鳥で丸みと重みがあって、
きっと両手を丸くして持つのだろうという造形で、あのようにた立てかけられたら
空想も少しは飛ぶか動くかするだろうと思われました。
手持ちの別の図録で描かれた年などを比べると、同じ題材で何枚か描いているようです。

「花がたみ」
赤い袴をはいてフワフワと浮遊しているような女の絵、
「花がたみ」の下絵がありました。
こちらも世阿弥原作の謡曲「花形見（花筐）」に登場する照日という女の姿絵です。
日本画は、写生、小下絵、草稿、本紙という段取りをとるそうで、
本紙と同じ大きさの小下絵が出ていて、その下図を描いて墨なので消すことは
できませんが、描いたり消したり、貼り合わせたり外したりと、
画面を作っていく様子がよく見えてきました。
応神天皇の五世の孫の男大迹部王子と照日は皇位を継がねばならず別れ別れになりました。
絵はその今は継体天皇となった王子への募る思いを、前漢の武帝と李夫人の
反魂香（はんごんこう）の故事になぞらえて狂い舞うという場面だそうです。
画面には大きく左寄りに照日がかかれ、別れの時に送られた花篭を右手に持って、
画面上からは紅葉が散り、右下には別れの歌がかかれた扇が落ちています。　
松園の師の竹内栖鳳から、にゅっと出た腕を描いたらどうかと言われてヒントにしたそうで、
なるほどその手の表情一つで、張りつめたもの 収まらないものとが表現されているの
だなと感心しました。

「楊貴妃」を再び見ることができました。
以前に京都の美術館で見た折には、その真直ぐに伸びた線と、横に連なる線の繰り返し
のゆるぎなさ、透かしの描写に感嘆しました。
あらためて見てみると、台座の細部の装飾や湯浴みを終えて羽織っている青い薄物の透
かしの竜の文様、画面左には、簾と仕切りの絹地のような半透明の障子が重なって、
つまり透かしにすかしてあちらの透かしが見えるという二重の透かしを表現する
驚嘆の技を見て、改めてすごい絵師だなあと思いました。
装飾の、細やかなのに喧しくないのは、一つ一つの線や形が
きちっと止められていたからでしょうか。

「草紙洗小町」
謡曲の「草紙洗小町」を主題として、歌合せの会で大伴黒主は相手が
小野小町とわかると事前に歌を盗み聞きし姑息な手段に出ます。
会の当日、万葉集の盗作だと疑われた小町は草紙を水で洗い流して、
歌は洗い流され、疑いは晴らされました。
（つまり新しい歌は墨が紙に定着していなかったということか？）
絵はその一瞬の場面を切り取り描いたもので、見る側に迫真の気迫が伝わってきます。
解説ではそのあと小町は自害しようとした黒主を止めたそうです。

「焔」
謡曲「葵上」からとられた嫉妬心を描いた作品だそうです。
これも以前に京都で見て、前回とは色が違って見えて、
かすかに違うというのでなく全く違って見えたのには夏に蜘蛛の巣を
追っていたからだろうかと不思議に思いました。
松園自身もこの絵を描いた時のことはよく覚えていないとありました。
出ていた作品は平成21年の模写の作品だそうです。

「雪月花」
雪の日に中宮定子が「香炉峰の雪は如何に」と尋ねたところ、
清少納言が瞬時に白居易の故事に基づいて簾をかかげたという
エピソードからとられているとありました。
なるほど漢詩がかかれて、こう応答しましたよと解説にありました。
「雪月花時最憶君」...

作品や下絵の数々も良かったのですが、やはり絵を描く部屋の畳に並べられた
数々の絵皿、庭を切り取って光が入る窓を背景にして絵を描く松園の姿も、
白黒写真ながら良かったです。

本を二冊購入しました。
『青眉抄・青眉抄その後』『万葉に遊ぶ』を読むのが楽しみです。
いい展覧会でした。

草々（女性）250906

437.　大阪市立美術館に行ってきました
今日はお月見、素晴らしい中秋の名月です。
頂いたチケットで、北魏　石造仏教彫刻の展開を天王寺へ見に行ってきました。
公園のフェルメールの小道脇には彼岸花が咲いていました。秋ですねえ。

北魏の仏教彫刻は、一言でいえば、優しい。本当に優しいお顔です。道教の彫刻は少
し厳ついと思ったのですが、なぜか後ろからケースに映ったお顔を見ると優しいので
す。厳しい中に優しさを秘めているのかなあ。

特集展示の根付と装身具が、結構見ごたえがあって、得した気分になりました。自分
のお気に入りを見つけるのも楽しいかも。

１０日に京都の龍谷ミュージアムへ「極楽へのいざない」を見に行きましたが、これ
も良かったですよ。

極楽浄土への庶民のあこがれが、ひしひしと伝わってきます。でも、そのあとに京都
駅で食事をしましたが、美味しいものを戴いて、京都の町を見下ろして、この方が
よっぽど極楽、と言った母の言葉には負けましたけど・・・。

龍谷ミュージアムは初めて伺いましたが、とってもきれいで、ベゼクリク石窟復元展
示ではイヤホンガイドをつけて説明を聞けるのも良かったです。展示室のシアターで
練供養の実際の映像も見て、展示物を実感できました。

これから次々と行きたいところが目白押し。またまた忙しい季節を迎えることとなり
ました。

秋を満喫したいと思っています。ありがとうございました。
（女性）250919

444.　いつもお世話になっております。
先日は、兵庫県立美術館『橋本関雪展』の招待券をありがとうございました！

ようやく気候も秋めいてきたので、久しぶりに美術館に行きたいと
思っていたところ、招待券が当たったので、喜んで出かけました。
『開運！なんでも鑑定団』によく出てくる橋本関雪の絵は、
テレビで見るよりもずっと力強くて迫力がありました。
橋本関雪が兵庫ゆかりの人ということも、今回初めて知りました。
とても値打ちのある展覧会だったと思います。
素敵な秋の一日を過ごさせていただいて、
アートナビさんに改めて感謝です。ありがとうございました。
（女性）251003

452.　展覧会の感想です
先日は頂いた招待券で『棟方志功　幻の肉筆画展』＠美術館「えき」KYOTOを
楽しんできました。

本当にいつも美術愛好家のためにストリート・アートナビの
サイト運営＆招待券のプレゼントをありがとうございます。

棟方志功の展覧会は肉筆画は期待していたほどではなく、
画面上でエネルギーが空回りしている感がありましたが、
木版画になると、画材の物質的な抵抗感と作家のエネルギーの
拮抗の素晴らしい産物であるかのようで、作家の野性的な魂が
他に類のない力強い表現に結実していて感動しました。

これこそが棟方志功。
このエネルギーは木版画という表現手段を得て、
やっといいバランスで視覚的に定着することが出来たのだ、と思いました。

表現者にとって、どんな表現手段と出会うかが本当に重要。
そんなことがはっきりと見て取れて、良い展覧会だったと思います。
（女性）251031

463.　先日は、「プーシキン美術館展」神戸市立博物館の招待券をいただき、
誠にありがとうございました。
ギリギリになってしまいましたが、ようやく行くことができました！

プーシキン美術館は、世界三大美術館には入らずとも、世界最大の美術館のひとつです。
実際にモスクワまで出向くのは難しいので、
私にとって今回の展覧会は、どうしても行きたい美術展でした。
ゴッホの≪医師レーの肖像≫をはじめ、どこかで一度は目にしたことのある作品が
いくつもあり、とても充実していると感じました。

私はモネが好きなので、≪陽だまりのライラック≫を間近で見ることができて嬉しかったです。
ライラックと木漏れ日描写がとても綺麗で、見ているだけで温かい気持ちになります。
ドガやユベール・ロベール、マリー・ローランサンなど、
好きな画家の作品も数点あって、本当に満足のいく展覧会でした。
カタログも買ったので、家で何度も見ようと思います。ありがとうございました！
（女性）251202