IMPRESSION
私、村上がメーカー、排気量、新旧など車種にこだわらず一般の人よりたくさんのバイクに乗れる立場を利用して、私なりの試乗インプレッションを、語らせていただきます。皆さんのバイク選びの御役に立てればうれしいです。
今回は、ついにエンジンが400ccになりました。ADIVAのAD3 400です。
ADIVA AD3 400
水冷単気筒400cc
¥1,180,000
カラーはホワイト、シルバー、ブラック、ワインレッドの4色。
ヘッドライトはプロジェクターに変更。ハイ、ロー片目ずつ点灯します。ヘッドライトのスモールとテールライトがLEDになりました。リアトランクの形状も曲線が増えてオシャレな形。
メインキー下のグローブボックスに鍵が付きました。右側のキャップが付いた部分がUSBソケット。リアシートの背もたれには取り外し可能なベルトを取り付けられます。後ろで居眠りされても少し安心。
新しいヨーロッパの安全基準に対応したフットブレーキ。確か、125以上だと思いましたが、ABSかコンビブレーキを付けなくてはいけないという決まりになったそうです。このバイクの場合、踏みしろが浅く、タッチも悪いので、これで停まろうとしても難しい。今回、私が便利だと思ったのは、ハンドルから両手を離してグローブを外したりする時、スクーターだと不便ですが、フットブレーキがあると傾斜のある信号待ちでも楽々だったことくらいでしょうか。ほとんど使ってません。
ツーリングに行ったらどうなる?
試乗会ツアーが始まる前、一週間ほど空きができるとのこと。せっかくなので、遠出で使えるかどうかをテストしてみましょうということで、お借りして出かけてみました。
早朝に店を出て秩父を目指します。7時ころアキバを通過したので万世橋の上でパチリ。未来的な顔つきは、この街に似合います。
乗り出してすぐに室内の反響音にびっくり。最終型のプロトタイプなのでまだ立てつけがしっくりきていません。原因は分かっているので量産型では直してくる予定だそうです。それでもすぐに慣れましたけど。
通勤時間で少し車が多いかなと思われる春日通りと川越街道。MP3やトリシティも含め、3輪全般に言えることですが、4輪の脇を通ってのすり抜けはほとんど不可能。ほぼ4輪と同じペースで走らなくてはなりません。まあ、ハーレーの皆さんと同じと思っていただければよいかと思います。
長い距離を屋根付きバイクで走るのは初めてです。後から思いましたが。直射日光を遮る日差しの役目としても重要なので、夏場は屋根を付けたままのほうが良いですね。それと大きなスクリーンなので風が当たりません。最初、いつもの癖で発進と同時にヘルメットのシールドを下げたのですが、うっとうしくてすぐに上げました。以降、一度もシールドを下げずに一日走ってきた状況。さすがに半キャップはお勧めしませんが。シールド無しのジェットヘルが一番快適かもしれません。モモのように目のところだけシールドが付いたのもありです。
所沢、飯能の街中を通過して国道299号線へ。各地、バイパスができているので思っていたよりも楽々。299へ入ってからは実に快適。秩父の手前、今はまっすぐなトンネルが通ったので、ほとんど使われなくなった正丸峠へ突入してみる。昔、私が八王子の学生で、田舎へ帰るときはここを通るしかなかったのですが、「こんなに狭かったっけ?」と思うほど。車一台分くらいしか道幅が無い山道ですが、こういう場所を快適に走れるかどうかで、このバイクの評価が大きく変わってくると思います。なので今回、絶対にここは外せないと確信しておりました。
結論から先に言えば、合格二重丸。登りは400ccのエンジンが余裕のトルクを見せてグイグイ引っ張ります。タイトコーナーの連続も実にナチュラルなハンドリングで何も意識することなく通過。荒れた路面もまったく問題ありません。むしろ、私が特に感心したのは峠の下り。ここは3輪の特性がとても有利で、前2輪のグリップ感は、雨の日同様、普通のバイクには無い安心感。初心者や、しばらくブランクのあったライダーの中には、「苦手な下り」意識をお持ちの人がいらっしゃるかと思いますが、3輪の場合は、これををまったく感じ無いのではないでしょうか。もちろん峠を楽しくと言っても、絶対スピードはスポーツバイクのようにはいきません。このバイクで走って気持ちいい速度域と言うことです。4輪が前にいたら追いつくくらいのペース。
ここを通過時点で10時前、しかも今はほとんど使われなくなった旧道なので登って降りるまで100%貸切状態。最高に楽しめました。
因みに一般敵な道でのハンドリングはどうかと言いますと、車の後ろについて田舎道を走る分にはまったく3輪を意識することもなく快適に走ることができます。ただし、たまに前が空いて80km/h前後になるコーナーでは「屋根の重さ故の遠心力」を感じることがあります。目線を離すと車体が起き上がろうとするのですが、「おっと、いけねえ。」てな感じで真面目に顔をコーナーの出口に向ければすぐに修正できるので、問題ありません。いつの間にか3輪であることを忘れています。
峠をおりたら、もうほとんど秩父。今日の最終目的地は秩父で有名な「味噌豚丼」のお店。開店は11時ですが、10時ちょと過ぎに着いてしまったので、ご近所散策。荒川沿いをさかのぼって道の駅をのぞいたり、ダムを見学したりして時間をつぶす。浦山ダムは秩父駅から10分くらいの距離でダムの中が見学できたり、エレベーターを使ってダムの上までのぼり、上から見下ろすことができます。すべて無料。平日なので駐車場は私が乗ってきたAD3のみ。
うろうろしていたら11時過ぎてしまいました。ここ、野さかは味噌漬けした豚肉を乗せた丼が超有名なお店。以前、ツーリングで皆さんと来た時に、1時ころだったっと思いますが、長蛇の列で待っていたら、はるか向こうで売り切れストップになって、食べ損ねたお店です。平日ですとほとんど待ち時間なし。写真は大盛り豚丼¥1100也。ロースとヒレが半分ずつの豪快盛りです。すごいボリュームで、満足満腹。おいしいです。秩父市は「蕎麦の街」で推しているようです。この日の夜は道の駅で買ってきた地元そば粉を使った蕎麦を食べました。なかなかごちそうな一日。
お昼を食べたら帰り道。元来た道を飯能まで戻り、川越ICから関越に乗ってみました。さすがにこの排気量。余裕で流れに乗れます。ただし、大きなスクリーンが帆になってしまうので、横風が強い日は注意が必要です。簡単に車線半分くらいのライン変更を強いられる時があります。この日は正に風が強い日で、最初はびっくり。メーカーの営業氏は140km/hまで出したことがあるそうですが、私はこの日120km/h位まででした。だいたい、余裕の100km/h巡航が平和的なところでしょうか。
この日は結局自宅へ戻ったのが3時。往復で220kmほど走ってきました。出かける前に満タンにして11L入って、帰ってきたらゲージがEのところにかかってましたので、大体リッター20kmの燃費になります。このクラスのエンジンとしては平均的数字。
まとめ
それまでの屋根の付いた3輪スクーターと言えば、オシャレでスマートなシティーコミューター。と言った位置づけが、私も含めた皆さんの印象ではないでしょうか。しかしエンジンがプジョー製の400ccになり、お値段も諸費用含めたら130万円にもなろうかというバイク。街中だけで使うにはもったいないし、そこにそんな大金を注ぎ込む価値があるかどうかも疑問なところ。もちろん都会で使うのも良いですが、たまに天気の良い日に遠出できなければ意味がないと思うのです。スポーツバイクでないことは明らかなので、おバカな走り方ではなく、マイペースで安全に、あくまでもバイクとして楽しむことができるがどうかが、このバイクのポイントではないでしょうか。そうでなければ「ダイハツのコペンでいいじゃん。」ということになってしまいます。なので、今回はあえて、正丸峠を通ったり、渋滞するかもしれない朝の市街地を走ったりしてみました。100km位走って、現地をうろうろ観光して回ったりするくらいは余裕です。もちろん、得意の雨に強い特徴を生かし、リアの大きなトランクに荷物を入れて泊まり込みなんて使い方も想像できますね。
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